[Ⅶ300] 老いの意味論(8) / 老いを尊ぶか/嫌悪し嘲笑するか‥
「われわれのよわいは70年にすぎません。あるいは健やかであっても80年でしよう。しかしその一生はただ、ほねおりと悩みであって、その過ぎゆくことは速く、われらは飛び去るのです。」この一文は『聖書』(1963)「詩編」第90篇(モーセの祈り)である。聖書の「詩編」は紀元前530年頃に編集されたという説が一般的である。とすると古のこの時代の人たちは意外と長寿であったことがわかる。70歳健やかでも80歳だから。ところが歴史が進むにつれて、戦争、交易による感染症の伝播、産業化に伴う自然環境の汚染、急激な工業化に伴う労働環境の悪化、食糧事情の変化や富栄養化、等々によって、文明はそれほど人間の寿命を長くしてきたとは言えないのだろう。そして今日、新しい自由主義経済とか称するエセ経済学者が、強欲と富の寡占と傲慢と差別と格差...[Ⅶ300]老いの意味論(8)/老いを尊ぶか/嫌悪し嘲笑するか‥