1位〜100位
若菜の不穏な状態は数日続いた。しかしその後ふたたび生気を取り戻し、ボクや叔母のことを心配したり、食べたいものを話題にするようにもなった。敬一と静雄に会いたいとしきりに訴えた。ボクたちも希望を取り戻していた。ボクの日録では5月28日の日曜日に敬一と静雄を連れて、母と父、桜子、叔母とともにみんなで若菜のところに行っている。しかし、敬一と静雄にとって、これが母親との最後の抱擁になるとは、誰もが思っていなかった。何十年経っても、昨日のことのようにこの日々が思い起こされ、胸が痛むのだが、若菜の最後の数日も記しておくのが、敬一と静雄に対するボクの責務でもあると考えたので、日録を記すことにする。《5月28日》朝8時半起きる。広とマラソン。菓子パンで朝食。9時半出かける。11時20分病院。桜子と叔母、朝おかゆを食べたのよ...[Ⅲ153]我がメメントモリ(20)/ 最後の別れ
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