[Ⅺ 342] ヨブ記巡禮 (11) / 宗教家という圧政者
ヨブはたび重なる災禍に遭遇して神からも見捨てられたとの思いが強く、天涯孤独の身になって心身共に消耗し彷徨している様子が見て取れます。ヨブは遠路はるばる訪ねてきた友人たちを心では歓迎する気持もあったのでしょうが、老友エリパズの発した言葉にヨブは反駁せざるを得ませんでした。正しき人ヨブの堅固にして強い意思に対して、聖書を読む私にはヨブへの共感が次第に強く湧いてきます。引き続く〈第8章〉では〈第6・7章〉でヨブが老友エリパズに反駁し神に異議申し立てをした言葉を受けて、今度はシュヒ人の若き神学者ビルダテが反論します。なおシュヒ人とはアフラハムの子の一人の子孫と言われています。【ヨブ師よ、いつまであなたは神に反抗する言葉を出し続けるのですか。こうした言葉は荒々しい風に過ぎませんよ。神は公義を曲げることも正義を曲げる...[Ⅺ342]ヨブ記巡禮(11)/宗教家という圧政者