[Ⅶ295] 老いの意味論(3) / 老化の科学(1)
ところで人間にはなぜ老化が起こるのだろう。ここで免疫学の権威故多田富雄氏の著書『生命の意味論』(新潮社、1997)をのぞいてみた。以下記述内容は多田富雄氏のこの書籍からの部分的引用と要約で構成した原稿であることをお断りしておく。多田氏のこの書籍の執筆当時と比較すれば、老化に関する生命科学的知見は増大しているのだろうが、少なくとも「老化」に関する決め手となる知見は発見されてはいないと思う。※「老化がなぜおこるのか」に関する生命科学の定説は未だにないといっていい。ただし少なくとも幾つかの仮説がある。以下の五項目だ。(5-1)その一つが「老化のプログラム」説。老化はゲノムの中に遺伝的にプログラムされているはずだ。時間とともにそのプログラムが発現してゆくことで全ての細胞は老いて、個体は遺伝的にセットされた寿命内で...[Ⅶ295]老いの意味論(3)/老化の科学(1)